通称名の使用範囲を広げるには、通称名を使用したい旨を、さまざまな場面で伝えていく必要があります。

Amazonや楽天、公共料金など、インターネットから通称名に変更できるものもありますが、電話や窓口で直接伝えなければならない手続きもあります。

この記事では、電話・メール・窓口それぞれの場面で使える簡単な例文を紹介します。

最初のうちは慣れないやり取りに緊張してしまいますが、事前にイメージしておけば、落ち着いて伝えることができますよ。

電話

公共料金など

公共料金(電気・ガス・水道)の契約者名義の変更は、インターネットから手続きできることも多いですが、電話での連絡が必要な場合もあります。
住んでいる建物名と部屋番号、契約時の氏名を最初に伝えるとスムーズです。

お世話になっております。
□□マンション101号室の◯◯と申します。
契約者名義についてご相談があり、お電話いたしました。

現在は戸籍上の名前で契約しているのですが、今後改名の予定がありまして、こちらの契約者名義を通称名に変更していただくことは可能でしょうか?

これだけで、「ではこちらで名前を変更しておきますね」と返答があり、そのまま手続きが終わることもあります。
ただ、実際にはもう少し理由を聞かれることもあるので、その場合は次のように説明します。

今は戸籍上の名前である「◯◯」で契約しているのですが、今後「△△」という名前に戸籍から改名する予定です。

家庭裁判所への申立てにあたって、すでに新しい名前を使用している実績が必要になるため、契約者名義の変更をお願いしたいです。

名義変更に必要な手続きや書類があれば教えていただけますか?

公共料金の契約者名義は比較的変更しやすい部類です。
「前例がないので」といった理由で断られることはほとんどありません。
ぜひ一度、問い合わせてみてください。

その他の手続きでも、通称名への変更が可能かどうかを問い合わせるときは、同じような聞き方で問題ありません。

◯◯について確認したくてお電話しました。

今、通称名で生活しているのですが、こちらに登録している名前も通称名に変更していただくことはできますか?

もし可能でしたら、変更に必要な手続きや書類を教えていただけると助かります。

電話は苦手に感じる人も多いですが、うまく話そうとしなくても大丈夫です。
大切なのは、要点が相手に伝わること。
通称名に変更できれば、それで十分です。

メール

メールでの問い合わせは、シンプルで読みやすい文章を心がけましょう。

  • 件名は、一目で内容がわかるように簡潔に書きます
  • 質問がいくつかある場合は、箇条書きにすると読みやすいです
  • 戸籍名と通称名はどちらも記載します

たとえば、図書館への問い合わせは、次のような書き方になります。

件名:【お問い合わせ】図書貸出カードの通称名記載変更について

□□図書館 御中

はじめまして、□□市在住の山田花子(戸籍名:山田花子、通称名:田中花子)と申します。

現在、貴館の図書貸出カードに戸籍名「山田花子」で登録しておりますが、長年社会生活で通称名「田中花子」を使用しており、貸出カードにも通称名を記載いただけないかお伺いしたく存じます。

以下の点をご教示いただけますでしょうか。

・通称名の記載が可能か
・名義変更に必要な手続きや書類
・窓口で対応していただける日時

お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

山田花子(通称:田中花子)
住所:□□市◯◯町1-2-3
電話:XXX-XXXX-XXXX
メール:xxx@example.com

図書貸出カードや定期券、診察券などは、実際に窓口へ出向かないと、カードに記載されている氏名を書き換えることができません。
メールでの問い合わせは、あくまで事前確認として考えておくとよいでしょう。

窓口

郵便局

郵便局への手続きは必須ではありませんが、できれば連絡しておくと安心です。

通称名宛ての郵便物や宅配便は、住所が正しければ届くことがほとんどです。
ただし、通称名での郵便登録がされていない場合、その名義宛の郵便物が一時的に保管されることがあります。

確実に受け取りたい場合は、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)と印鑑を持って郵便局の窓口で手続きを行います。

郵便物の宛名についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

本名とは別に、これから通称名を使い始める予定なのですが、通称名宛てで郵便物を受け取るために何か手続きは必要ですか?

途中で通称名を変更した場合も、改めて郵便局に伝えておくのがおすすめです。

持ち物
  • 本人確認書類
  • 印鑑

身近なサービス

図書貸出カードや定期券、診察券など、カードや書類に氏名が印字されているものは、実際に窓口へ出向いて手続きを行う必要があります。

恐れ入ります。◯◯の氏名についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

現在、通称名を使用して生活しているのですが、◯◯の氏名を通称名に変更していただくことはできますか?

もし可能でしたら、変更に必要な手続きや書類を教えていただけると助かります。

すべてのサービスで、通称名への変更ができるとは限りません。
そのような場合でも、本名と通称名の併記であれば対応してもらえることがあります。
もし通称名への変更を断られた場合でも、別の記載方法で対応できないか、一度確認してみましょう。

持ち物
  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 通称名に変更したいカードや書類
  • 通称名を使用していることがわかるもの

市役所・銀行など

身分証や銀行口座の名義などは、原則として通称名の使用が認められていません。
ただし、事情によっては通称名の使用について個別に対応してもらえることもあります。

親や身内からの虐待を理由に家庭裁判所へ改氏名を申し立てても、取り下げや却下などで、改氏名が認められない場合があります。
家庭裁判所で改氏名の許可が下りるまで、身分証や銀行口座の名義には戸籍氏名を使用せざるを得ません。

このような事情があるときは、窓口で状況を伝え、通称名の使用について検討の余地がないか相談するという選択肢もあります。

相談の際には、虐待によって戸籍氏名の使用にどのような支障が生じているかを、あらかじめ文書にまとめておくと安心です。
文書にしておくことで、窓口で繰り返し説明する必要がなくなり、フラッシュバックなどの心理的な負担を軽減できます。

家庭裁判所に提出した申立書や上申書のコピーがある場合は、それを提示するのもよいでしょう。

◯◯に記載されている氏名を通称名に変更していただきたく、ご相談に伺いました。

現在、親からの虐待の影響で、戸籍の氏名を使用するとフラッシュバックが起こり、社会生活に支障が出ている状況です。
そのため、日常生活では通称名を使用しています。
詳しい事情については、こちらの文書をご参照いただければと思います。

戸籍の氏名について、家庭裁判所に変更の申し立てを行いましたが、□□という理由により認められませんでした。

戸籍の氏名変更が認められるまでは、◯◯に記載されている氏名の変更が難しいことは承知しておりますが、通称名の記載をお願いできないでしょうか。

もし通称名のみでの記載が難しい場合でも、本名と通称名を併記する形など、何か対応をご検討いただくことはできませんでしょうか。

往々にして「前例がないので」と断られますが、個人的には一度は食い下がっても良いと思います。
担当の方が他の職員や本部に確認を取ってくださり、例外的な対応として認められるケースがあるからです。

一方で、気持ちの面では理解してもらえても、法令上どうしても対応できないものもあります。
そうした場合は無理に粘らず、お礼を伝えて引き下がりましょう。

元々、原則として認められていないことをお願いしている立場です。
食い下がるとしても1〜2回までにとどめ、3回断られたらすぐに撤退するなど、事前に自分の中で引き際を決めておくことが大切です。

持ち物
  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 通称名に変更したい書類
  • 通称名を使用していることがわかるもの
  • 通称名を使用したい理由をまとめた文書(あると便利)

まとめ

通称名の使用範囲を広げていくことは、地道な問い合わせの繰り返しです。
慣れない手続きをするのは、それだけで心理的ハードルが高いです。

でも、「通称名が使えないかもしれないから」「断られるかもしれないから」と自己判断で諦めるのは非常にもったいないです。
通称名の永年使用を理由に改名を申し立てるなら、〝広く浸透している〟と証明できる実績は多いに越したことありません。
どれだけ長く通称名を使っていても、証拠がなければ改名申立てでは不利になってしまいます。

問い合わせは最初こそ慣れなくて大変ですが、経験を重ねるうちに少しずつ慣れていきます。
この記事で紹介した例文が、最初の一歩を踏み出す助けになれば嬉しいです。