通称名の使用範囲の広げ方
通称名の永年使用を理由に戸籍の氏名変更を申し立てる場合、通称名は広い範囲で長期間使用していることを求められます。
通称名はどれか一つの書類だけで使えばいいものではありません。
広い範囲で通称名を使用していても、それが数日や数ヶ月では『永年』とも言えません。
また、「この書類で通称名を使用できていれば、改名が有利になる」というものもなく、非常にあいまいなものです。
そして、どんな書類で通称名が使用できるかは明確に決まっておらず、各機関の判断によって異なります。
「これは通称名が使えるのか?」と気になったら、直接窓口に問い合わせるのが確実です。
とはいえ、通称名への変更がしやすいものもあれば、ほぼ不可能なものがあるのも事実。
ここでは、私が通称名を使用してきた経験から、個人的な感覚で難易度別に分けて紹介します。
これが絶対に正しいというわけではなく、目安として参考にしていただけると幸いです。
【難易度別】通称名に変更できるもの一覧
| 易しい |
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| ふつう |
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| 難しい |
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| ✕ |
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難易度:易しい
誰でも変更しやすいのがこちらです。
初めて通称名を使うとき、何から手を付けていいのか迷ったら、まずはここから始めると良いでしょう。
特に、『手紙や年賀状などの郵便物』や『公共料金の明細書』で通称名を使用することで、他の書類での通称名の使用が認められやすくなります。
手紙や年賀状などの郵便物
相手に新しく使いたい名前(通称名)を伝え、手紙や年賀状などの宛名には通称名を書いてもらうようお願いします。
難しい手続きは必要なく、相手に伝えるだけでOKです。
郵便物の消印や年賀状によって、いつから通称名を使っていたかが証明できます。
通称名だけで大丈夫です。
今まで戸籍名を書いていたところに、通称名を書いてもらいます。
自分が差出人のときも、通称名の方を書きます。
本人確認ができず、郵便物が一時保管される可能性があります。
郵便局側から本人確認の連絡があったときは、改名予定であることを伝え、戸籍名と通称名が同一人物であることを伝えましょう。
住所が合っていれば問題なく届くことが多いです。
公共料金の明細書
ガス、電気、水道などの契約者名義ですね。
インターネットや電話などから通称名への変更が可能です。
通称名での支払い明細書は、日付や住所が記載されているため、有効な使用実績になります。必ず残しておきましょう。
ネット通販の伝票
Amazonや楽天市場など、ネットショップの会員情報もインターネットから変更できます。
ただし、ネットショップの送り状(伝票)や納品書は、本人が登録した名前が自動反映されるため、通称名の使用実績としてはあまり評価されません。
ネットショップだけで通称名を使用していても、これだけでは証拠として不十分です。
補助的な材料として考えましょう。
【Amazon】
①右上の人物マークをタップ

②画面を下にスクロールして、『すべてのオプションを表示する』を選択

③アカウント設定の中の『ログインとセキュリティ』を選択

④名前の横の『編集』を選択

⑤名前を通称名に変更し、『変更を保存』で完了

【楽天市場】
①名前部分をタップ

②『会員情報の確認変更』を選択

③通称名に変更する

④画面を一番下までスクロールし、『変更を保存する』で完了

SNS、メール
手紙や年賀状などの郵便物と同じように、相手に新しく使いたい名前(通称名)を伝え、今後はその名前で呼んでもらうようお願いします。
SNSのやりとりで相手から通称名で呼ばれていることや、メールの本文・差出人名・署名などに通称名が使われていることが使用実績になります。
家庭裁判所へ氏名変更を申し立てる際は、これらのSNSのやりとりやメールを印刷して提出します。
いつから通称名を使っているのかが分かるよう、日付が確認できることがポイントです。
難易度:ふつう
通称名の使用が認められることもありますが、必ずしも対応してもらえるとは限りません。機関や担当者によって判断が分かれることが多い印象です。
条件によっては認められることもあるため、一度相談してみる価値はあります。
ここからは、日常的に通称名を使用している実績が必要な場面が増えます。
〈難易度:易しい〉で紹介した書類を、持ち運びしやすいようにノートやファイルなどに整理して、通称名使用の相談の際に提示しましょう。
使用実績が全く無い場合に比べて、対応してくださる可能性が高くなります。
学生証、成績表、卒業証書
学校で通称名を使うには、担任の先生や校長先生など、学校関係者に相談して許可を得る必要があります。通称名が使える範囲は学校によって異なります。
入学前やできるだけ早い段階で相談すると、名簿や学生証などに反映されやすくなります。
まずは、通称名を使いたい理由や事情を学校に伝えましょう。話し合いだけで決まる場合もあれば、書類での手続きが必要になる場合もあります。
多くの学校では、プリントや持ち物、成績表などで通称名の使用が認められています。
ただし、卒業証書などの公的な証明書は原則として戸籍名のみ、という学校もあります。
近年は配慮が進み、卒業証書でも通称名が使えるケースも増えていますが、必ず事前に確認しておくことが大切です。
社員証、名刺、給与明細
結婚による旧姓の使用や、外国籍、性別違和など、通称名の使用を認める企業は多くあります。面接や内定時に相談し、社内承認を得ましょう。
すでに戸籍名で勤務している場合でも、まずは上司や人事部に相談して、必要な手続きを進める形が一般的です。
名刺やメール署名、社員証、給与明細などで通称名を使える場合が多いです。
ただし、税金や社会保険などの公的手続きでは、原則として戸籍名が使われます。
通称名で働きたい場合は、できるだけ早い段階で希望を伝えるのがベストです。
とはいえ、入社後しばらく経ってから改名を考え始める人も少なくありません。
途中から通称名の使用を申し出た場合でも、対応してくれる企業はあります。
一方で、社内共有や周囲への説明が必要となり、それを理由に申し出を見送る方もいます。
特に、虐待・DVからの避難、性別違和など、デリケートな事情が背景にある場合、できるだけ理由を知られたくないこともあるでしょう。
名字の変更だけならまだしも、下の名前やフルネームまで変更するとなると、周囲の関心が集まりやすく、説明せずにやり過ごすのは難しいです。
その場合は、無理に今の職場で通称名を通そうとせず、転職を視野に入れるのも一つの選択です。
職場で通称名が使用できなくても、それを理由に改名が却下されることはありません。
実際に家庭裁判所へ氏名変更を申し立てる際は、
「改名が認められたら会社での氏名変更に対応してもらえる予定」
「転職を予定しており、それまでに改名を済ませたい」
といった説明をすることも可能です。
裁判所が実際の職場環境を細かく調査することは通常ありません。
もし現在の職場で通称名の使用ができなくても、改名を諦めなくて大丈夫です。
少しずつ、できる範囲で通称名の使用実績を増やしていきましょう。
定期券
定期券で通称名を使いたい場合は、利用している交通事業者(JR・私鉄・バス会社など)の窓口や問い合わせ先に相談します。
通称名が使えるかどうかは事業者ごとに異なります。
本人確認書類や、すでに通称名を使用している証拠を求められることもあります。
ただし、公的書類(住民票、身分証など)と名前が一致しないと、本人確認が難しくなります。
払い戻しや紛失再発行の際にトラブルにつながる可能性もあるため、自己責任であれば対応可としている事業者もあります。
診察券
医療機関によっては、診察券に通称名を記載してもらえる場合があります。断られることもありますが、まずは電話や受付で相談してみましょう。
住民票や保険証に通称名が登録されている場合は、初診時にその名前を伝えることで、通称名で診察券が発行されることが一般的です。
- 電話や受付で、「診察券の名前を通称名にしてもらうことはできますか? 本名は△△で、通称名は◯◯です」と伝えます
- 普段から通称名を使用している証拠(郵便物、公共料金の明細書、学生証、名刺など)があると相談がスムーズです
なお、診療報酬の請求は保険証に記載された氏名に基づいて行われます。
診察券の表記は、通称名のみの場合や、本名との併記など、医療機関ごとに異なります。
親や身内から虐待を受けた場合、加害者と同じ名字であること自体がフラッシュバックの原因になることがあります。
さらに、加害者(親)につけられた名前や、当時呼ばれていた呼び名そのものが、精神的苦痛の引き金となる場合もあります。
虐待の後遺症によって通院が必要になる人も多く、治療のために訪れた病院で戸籍名を目にしたり呼ばれたりするのは、大きな負担となり得ます。
精神科では、診察券への通称名記載について、比較的配慮を得られやすい傾向があります。まずは受付や主治医に相談してみるとよいでしょう。
自治体の図書貸出カード
図書館の貸出カードでも通称名の使用は可能です。
対応は自治体や図書館によって異なりますが、本人確認書類で通称名が確認できれば、登録が認められるケースが多いようです。
詳細は、各自治体の図書館ホームページや窓口で確認しましょう。
また、通称名と現住所が記載された書類(郵便物や公共料金の明細書など)があると、通称名の使用が認められやすくなります。
民間資格の証明書
民間資格の試験や資格証の氏名表記は、発行団体や資格の種類によって取り扱いが異なります。最近では、旧姓や通称名の併記を認める制度改正が進んでいます。
多くの場合、申込時の登録氏名と、試験当日に提示する本人確認書類の氏名・顔写真を照合して、本人確認が行われます。
提示した身分証に記載された氏名が登録氏名と一致していれば、そのまま受検できます。
※登録氏名と身分証の氏名が一致しない場合、受検不可や欠席扱いとなる資格試験もあります。必ず事前に公式の案内をご確認ください。
たとえば、日本漢字能力検定では、通称名での受検を希望する場合に、通称名を使用していることが分かる書類の提出が必要になります。
Q.検定の申込時に、本名ではなく通称名で申し込み、受検できますか?
A.通称でも、お申し込み・ご受検・結果のお届けは可能です。
ただし、受検履歴照会や合格証明書再発行のご依頼時には、ご本人様確認が取れないため対応ができかねる可能性があることをあらかじめご了承ください。また、ご本人様確認にあたり、本人確認資料に加え、通称をご使用になっていることが分かる書類を併せてご提出いただく必要があります。
必要書類は資格団体により異なります。
最新の取り扱いについては、受検予定の資格団体へ直接確認することをおすすめします。
私の場合、通称名が記載された公的身分証(障害者手帳)を提示することで、通称名で問題なく受検できました。
ただし、取り扱いは資格団体によって異なるため、必ずしも同じ方法が認められるとは限りません。心配な場合は、事前に確認しておくと安心です。
難易度:難しい
このあたりはほぼ不可能です。
まず家庭裁判所へ氏名変更を申し立てることを勧められます。
役所や銀行などは、通称名の使用ができなくても当たり前、できたらラッキーくらいの認識で構いません。
高確率で「前例がありませんので」と断られます。
ここでは、個人的に直談判して前例を作っていただけたものを『難しい』に分類しました。
すでに何度か家庭裁判所に氏名変更の申立てをして、取り下げを求められた状態であったため、話を聞いていただけたのだと思います。
私のブログで改名についての情報収集をする人は、身内から虐待を受けたサバイバーが多いので、情報共有として載せています。
家庭裁判所で氏名変更が認められるまで、戸籍氏名を使い続けなければならないのは、日々精神的苦痛を伴うものです。
直談判したからといって必ずしも通称名の使用が認められるわけではないのですが、情に訴えると意外と検討してくださる機関もあります。感情的にではなく、冷静に身の上話をするのがコツです。
体感としては、身分証に通称名の使用が認められると、銀行口座名義の変更も通りやすくなる印象です。
身分証と銀行口座名義が通称名になると、スマホの契約者名義や賃貸契約も通称名の使用がしやすくなります。
原則があれば例外があります。
意地と執念と復讐心で生き延びている同士たち、我々が持っているカードは捨て身の虐待話です。
障害者手帳
通称名の使用は原則不可です。
厚生労働省の実施要領に関する疑義照会回答でも、「氏名は本名と異なる通称でも良いか。」の問に対し、「不可。」と明確に記載されています。
(【出典】精神障害者保健福祉手帳の実施要領についての疑義照会について|厚生労働省)
しかし、例外もあります。
- 性同一性障害(GID):性同一性障害により社会生活で日常的に通称名を使用している場合、医師の診断書や通称名が使用されていることを証明できる書類を提出することで、通称名の記載や性別表記の変更が認められることがあります。
- 外国籍の方:日本に長く生活している外国籍の方で、住民票に通称名が記載されている場合、その通称名が障害者手帳にも記載されることがあります。
- 旧姓併記:旧姓の併記が可能な場合があります。
これらはいずれも、自治体の判断により例外的に通称名の記載が認められることがあります。
同じ事情があっても一律に認められるわけではなく、適用は個別判断となります。
私は、家庭裁判所に提出した上申書のコピーと、通称名の使用実績を持参し、居住市の障害福祉担当窓口へ直接相談に行きました。
- 幼少期から父親による虐待を長期間受け、その後遺症として精神障害を負っている
- 戸籍の氏名を使用することで、虐待の記憶がよみがえり、フラッシュバックを引き起こす状態である
- 精神疾患により、日常生活および社会生活に長期的な制約があり、障害者手帳を取得している
- 障害者手帳に戸籍の氏名が記載されること自体がフラッシュバックの引き金となり、精神状態の悪化につながるおそれがある
- すでに通称名を使用しており、家庭裁判所へ氏名変更を申し立てたが、取り下げを求められたため戸籍の氏名変更ができない状況にある
- 離婚した母親には新しい家庭があり、その戸籍に入ることも断られている
以上の事情が総合的に考慮され、障害者手帳にはフルネームで通称名を記載していただくことができました。
障害者手帳は顔写真付きの公的な身分証明書です。
市区町村が身分証への通称名記載を正式に認めてくれることで、ほかの書類にも通称名を記載しやすくなります。
原則不可の壁は厚いですが、事情を具体的に説明し、精神的負担や生活上の支障を冷静に伝えることで、例外的な措置が下される可能性があります。
前例を開拓する気概があるのなら、身分証への通称名記載は挑戦する価値のある壁です。
自立支援医療受給者証
自立支援医療では、本人確認や保険資格の確認といった事務上の観点から、住民票や保険証と一致する氏名を記載することが原則とされています。
そのため、通称名のみの記載は通常認められていません。
しかし、こちらにも例外はあり、性同一性障害の方や外国籍の方などについては、通称名の記載や本名との併記を認めるなど、配慮を行っている自治体もあります。
ただし、運用や対応は自治体によって異なるため、通称名での記載を希望する場合は、居住地の障害福祉担当窓口に個別相談するのが確実です。
私は精神科を受診する際に自立支援医療受給者証を使用していたため、受診のたびに戸籍の氏名を目にすることで精神状態が悪化するおそれがある、という理由で通称名の記載をお願いし、認められました。
障害福祉サービス受給者証
障害福祉サービス受給者証では、通称名の記載は原則として認められていません。
厚生労働省から通称名に関する明確な基準は示されておらず、戸籍や住民票と同じ氏名で発行・管理するのが基本となっています。
受給者証は公的な証明書であり、本人確認や給付の正確さが求められるため、通称名の記載は想定されていないのが実情です。
通称名の使用を希望する場合は、居住地の障害福祉担当窓口に個別相談するのが確実です。
私は現在、虐待による後遺症のため、訪問ヘルパーなどの福祉サービスの利用が欠かせません。
これらのサービスを利用するには障害福祉サービス受給者証が必要です。ヘルパー事業所との契約や日常的なやり取りは、受給者証に記載された氏名をもとに行われます。
日常的に接するヘルパーから戸籍名で呼ばれたり、戸籍名でサインを求められたりすることが、精神疾患の悪化につながってしまっては本末転倒です。
そのため、障害福祉担当窓口に相談し、こちらもフルネームを通称名で記載してもらいました。
生活保護受給証明書、医療券
生活保護受給証明書や医療券は、原則として戸籍の氏名で発行されます。
外国籍で通称名を使用している場合は通称名の記載や本名との併記ができます。
生活保護には、最低限度の生活を保障する以外に、自立支援という目的があります。
病気や障害が自立の妨げになっているなら、適切な医療を受けて状態の改善を目指し、就労が可能であれば生活保護からの脱却につなげる、という考え方です。
虐待の影響により、戸籍の氏名を目にすること自体が精神状態の悪化につながる状況では、この自立支援の目的から遠ざかってしまいます。
こうした事情を踏まえ、生活保護担当窓口および担当ケースワーカーに説明した結果、受給者証と医療券の氏名を通称名に変更していただけました。
生活保護受給証明書は、本人確認書類として提出を求められることがあります。
私が住んでいた自治体では、戸籍名と通称名の併記はできないとされ、通称名のみでの発行でした。
提出先から戸籍名の記載を求められた場合には、制度上併記ができず、通称名のみの登録であることを説明し、対応について先方に判断していただきました。
私の場合は、ケースワーカーが戸籍名を直筆で補記し、生活保護担当課の公印が押されていれば問題ない、という扱いになることが多かったです。
銀行口座名義
銀行口座名義は、日本国籍なら原則として戸籍名です。
外国籍であれば、通称名を確認できる公的書類(住民票の写し、運転免許証、マイナンバーカードなど)を在留カードと併せて提出すれば、通称名での開設を受け付けている銀行もあります(楽天銀行、PayPay銀行など)。
しかし、SBI新生銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行など、外国籍であっても本名やアルファベット氏名での開設しかできない銀行もあります。
銀行口座名義の通称名使用について、私は最初の相談時に一度断られました。
日本国籍の場合、住民票に通称名が記載されない点が大きな壁になるようです。
住民票に通称名の記載がない状態で口座名義を通称名に変更した前例がない、というのが主な理由でした。
銀行口座の開設や名義変更には本人確認書類が必要となるため、身分証への通称名記載が認められた段階で改めて相談してほしい、という対応を受けました。
その後、居住市で身分証への通称名記載が認められたため、再度銀行に相談しました。
このときも「前例がない」という理由で難色を示されましたが、市が県や国にまで確認を行ったうえで前例を作ってくださった経緯を伝えたところ、銀行側も本社へ確認を取ってくださり、最終的に通称名での口座名義登録が認められました。
一つの金融機関で通称名の使用が認められると、他行で相談する際にも「別の銀行では本社確認のうえ対応してもらえた」という実例として説明できるため、交渉が進めやすくなりました。
携帯電話やスマートフォンの契約者名義
携帯電話・スマートフォンの契約者名義に通称名を使用できるかどうかは、キャリアや本人の状況によって異なります。
一般的には、本人確認書類に本名と通称名が併記されている場合に限り、店舗契約で例外的に認められることがある、という位置づけです。
たとえば楽天モバイルでは、外国籍で本人確認書類に本名と通称名が併記されている場合に、店舗での契約に限り通称名が認められます(Web申込みでは不可)。
Q.通称名で契約できますか?
A.下記の条件を満たす外国籍のお客様は、楽天モバイルショップで通称名でのご契約ができます。
通称名(通称・通名)でのご契約には、下記の条件があります。
- 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカードのいずれかで本人確認できる
- 過去に一度も楽天モバイル回線を利用されていない
- 本人確認書類に本名と通称名が併記されている
NTTドコモ、au、ソフトバンクでも、旧姓併記の書類があれば旧姓での契約が可能なことがありますが、新規契約では戸籍名が原則とされ、支払名義の一致などの条件があります。
日本国籍の方は住民票に通称名を登録できないため、基本的には本名契約が前提となります。
いずれのキャリアでも、通称名での契約はWebではほぼ対応しておらず、店舗での個別確認が必要です。
私が契約者名義を通称名に変更した際も、Webではなく店舗で直接相談しました。
当時は、障害者手帳と銀行口座名義をすでに通称名へ変更していたため、それらを提示することで、スマートフォンの契約者名義も通称名に変更してもらえました。
賃貸借契約書
賃貸借契約は本人確認が必要なため、通称名のみでの契約は原則として難しいです。
外国籍で、住民票などの身分証に通称名が記載されている場合は、通称名での契約が認められることがありますが、日本国籍の場合は公的な登録制度がないため、基本的には戸籍名での契約となります。
ただし、管理会社や大家の了承が得られれば、戸籍名と通称名を併記する形で対応してもらえるケースもあります。
内見時や申込前の段階で、併記が可能かどうかを事前に相談するのが確実です。
私の場合、障害者手帳と銀行口座名義を通称名に変更したこともあり、賃貸契約も通称名で結ぶことができました。
✕:変更できないもの
- マイナンバーカード
- 年金手帳、基礎年金番号通知書
- 障害年金受給者名、障害年金振込先の口座名義
- 日本学生支援機構奨学生名
これらは住民票の氏名と紐づいている書類なので、通称名の使用は不可能です(日本国籍では住民票に通称名を登録できないため)。
外国籍で住民票に通称名が記載されている人が通称名で奨学金申込をする場合、奨学生名は通称名を使用できます。
外国籍であれば、住民票に通称名を記載することができますが、日本国籍では住民票に通称名の記載ができません。そのため、日本国籍の場合は日本学生支援機構の奨学生名に通称名を使用することができません。
※奨学生名は戸籍氏名しか認められませんが、返還口座の名義は通称名でも構いません。
通称名の使用範囲を広げるときによくある反応
「戸籍名と通称名が併記された身分証や書類はありますか?」
似た内容として、
「住民票に通称名が登録されていますか?」
「住民票に通称名を登録してから、改めて相談していただけますか?」
と言われることもあります。
外国籍の場合は住民票に通称名を記載できますが、日本国籍の場合はできません。
この違いはあまり知られておらず、相手が把握していないことも多いです。
聞かれた際には、
「日本国籍なので、住民票に通称名は登録できないんです」
と事実をそのまま伝えれば大丈夫です。
また、身分証に通称名の記載が認められた場合、別の場面で本人確認書類を複数提出する際に、戸籍名で作成された書類(マイナンバーカード、住民票の写し、年金関係の書類など)と、通称名が記載された身分証で、名前が一致しないという状況が起こります。
こうした場合には、
「こちらの身分証は通称名で、他の本人確認書類の名前は戸籍名です。名前が違うのですが、問題ありませんか?」
と事前に相手へ確認をとります。
その際、戸籍名と通称名が併記された身分証があるかどうかを聞かれることが多いです。
もし該当する身分証がなければ、正直に「ありません」と伝えて構いません。
追加の書類が必要かどうか等、状況に応じて相手が判断します。
国籍を聞かれる
普段の生活で国籍を聞かれることはあまりないので驚くかもしれませんが、通称名の使用を相談する中で、国籍の確認をされることはよくあります。
外国籍の場合は住民票に通称名を記載できるため、住民票上の通称名を確認できれば通称名表記に変更できるケースがあるからです。
制度上の対応を判断するための確認ですね。
事情を聞かれる
日本国籍で通称名を使用していると、「なぜ通称名を使っているのか」という事情を聞かれることもよくあります。
旧姓使用や性同一性障害など、理由によっては通称名の使用に対応できるケースがあるためです。
私の場合は、
「改名予定で家裁に申し立て中なんです」
「親の暴力から身を隠しているんです」
と答えていました。
より詳しい説明を求められることもあるので、変に取り繕わずに答えるのが無難です。
「前例がありませんので」
特に〈難易度:難しい〉で紹介している書類は、通称名の記載を相談するとほぼ必ず「前例がありませんので」と返ってきます。
前例がないだけなら、交渉の余地ありです。
前例は作らないとできません。
「前例がありませんので」と言われたら、一度は食い下がっても良いでしょう。
ただし、あまり粘るとクレーマーになりかねません。
私は『3回NOと言われたらすぐ引き下がる』と自分なりのルールを決めて直談判していました。
一度断られても、他の書類で通称名の使用実績が増えたタイミングで改めて相談すると、対応が変わることもあります。
もともと難易度の高い手続きなので、焦らず地道に積み重ねましょう。
Q&A
問題にならない?
通称名を使うこと自体は違法ではありません。
友人や家族間では自由に使えます。
職場や学校でも、事前に申請し、了承を得れば使用が認められることも多いです。
一方で、役所・銀行・警察などの公的機関では、原則として戸籍名が求められます。
また、公的書類(契約書、履歴書など)で通称名のみを記載した場合、状況によっては有印私文書偽造罪に問われるリスクがあるため、注意が必要です。
問題になるのは、意図的に名前を偽って混乱や不利益を生じさせるケースです。
通称名の使用について事前に問い合わせたり、相談したうえで対応していれば、過度に心配する必要はありません。
具体的に『この書類で通称名を使えたら、改名が通りやすくなる』というものはありません。
どのような書類であっても、限られた場面でしか使われていなければ、社会的に定着しているとは言いにくいからです。
ただし、ネットショップなど本人しか関わらない場面での使用よりも、郵便物や公共料金の明細書など、第三者から通称名で認識されていることが分かる書類のほうが、使用実績として評価されやすいです。
諦める必要はありません。
通称名の使用については明確なルールがなく、実際の対応は各機関の判断に委ねられているのが現状です。
そのため、『前例がない』という理由で断られることも決して珍しくありません。
とはいえ、郵便物や公共料金の明細書など、比較的通称名に変更しやすいものがあるのも事実です。
できる範囲のものから一つずつ通称名に変更し、使用実績を増やしましょう。
怪しまれることはあります。
「通称名を使うと、犯罪や不正を疑われるのでは」と不安になる人も多いでしょう。
特にフルネームが通称名だと、相手に困惑されることも多いです。
やましいことをしているわけではないので、理由を説明すれば理解してもらえることがほとんどです。
自分から明かさない限り、通称名を使っていることが親や周囲に知られる可能性は低いです。
親や周囲の人間から身を隠すために、通称名の使用を考える人もいると思います。
一人暮らしをして通称名を使っていたとしても、役所や各種機関が実家に対して「お子さんは通称名を使っています」と連絡することはありません。
なお、戸籍の氏名変更が認められると、戸籍に新しい氏名が記載されます。
住民票には閲覧制限をかけられますが、戸籍謄本には閲覧制限をかけられません。
直系親族があなたの戸籍謄本を取得すれば、新しい氏名は知られます。
どこに確認したらいい?
迷った場合は、窓口に直接問い合わせるのが一番確実です。
通称名の使用については統一されたルールがありません。
ホームページ上では使用不可と書かれていても、実際には事情を伝えることで個別に対応してもらえる場合があります。
公式情報だけで判断せず、実際に問い合わせて確認することをおすすめします。
おわりに:今悩んでいる人へ
通称名を使い始めるときは不安になるものです。
どこから手を付けたらいいのかわからなかったり、窓口で断られて落ち込んだりすることもあると思います。
明確な基準がなくてあいまいだからこそ、「通称名が使えないものがある=裁判で不利になるのでは」と心配になるんですよね。
でも実際は、身の回りの書類すべてを通称名に変更することはできません。
完全に変更するには、戸籍の氏名変更が認められる必要があります。
だから、できる範囲で変更すればOKです。
手続きは正直、面倒で疲れます。
それでも、通称名に変更できるものは一つでも多く変更しておきましょう。
「友人間だけ」「SNSだけ」といった使用状況では、『広い範囲』とは認められないのが現実です。
手元にある自分の名前が書かれてある書類は、片っ端から問い合わせるのがおすすめです。
後々、改名を申し立てたときに「やっておけばよかった」と後悔せずに済みます。
身の回りの書類を通称名に切り替えるには、早くても数ヶ月から1年はかかります。
すぐに変更できるものではありません。
たとえ変更が早く進んだとしても、永年使用と認められるまでにはさらに年数が必要です。
焦らず、一つずつ進めましょう。
最初のうちは手続きや説明に慣れなくて大変ですが、1〜2年もすると通称名の書類が増え、説明を求められる機会も減っていきます。
こちらも説明に慣れて、何を聞かれても平然と答えられるようになります。
永年使用での改名の良いところは、通称名を広い範囲で使い続けていれば、ほぼ確実に改名が通るところです。
きっとうまくいきます。
安心して使用実績を積み上げてください。
